「キャリア向けブランド」ってそれホンマなん?

アキレス腱断裂後、今年初めての展示会に行って来ました、住之江区のクレアトールオキ三代目沖啓太郎です。

売り場が販売(出口)なら、展示会は発注(入口)の現場。アキレス腱の回復率は60%くらいですが、久しぶりの外での仕事はいい気分で商談を進めることができました。

「キャリア向けブランド」ってそれホンマなん?

久しぶりの現場だからか、ふと気づいたのが日頃普通に使ってるアパレル用語。チョット違和感と言うか、そうやったっけ?と思うことが・・・

アパレル一筋26年!というとなんだか偉そうに聞こえますね、すいません。

大学生のバイト時代を入れるとかれこれ30年もアパレル業界に関わってきました。ひとつの世界に長くいるとだんだん当たり前の事が見えなくなったり、非常識な事が常識としてまかり通ったりという事ありませんか?

今日は2社のキャリア系ブランドの夏物の展示会でした。ミセス向けのブランドに比べると比較的展示会のサイクルが詰まってて納期が近い商品なのでまだ想像しやすいです。

で、久しぶりの展示会で今日思った事。業界紙の繊研新聞なんかにも、キャリア向けブランド、ミセス向けブランドってカテゴリー分けされてて何の疑いもなく自分の頭でもそんな分類して、営業の人とも「ミセスブランドは~」「キャリアブランドは~」ってお互いに喋ってるんです。これって完全に刷り込みです!

英語の辞書ではたぶん一番近いニュアンスでこう書いてます。

career 職業,生涯の仕事

Mrs.  …夫人,…さん

teen  10 代の

キャリアって働いてる人みんな「キャリア」だし、さまざまな年齢の人が色んな働き方で働いているのに「キャリア」ひとくくり。

ミセスって10代から80代まで結婚してたらみんな「ミセス」だし、20代ミセスと60代ミセスをひとくくり。

どうもアパレル業界の非常識に慣れすぎたようです。婦人服をヤング(ティーン)、キャリア、ミセスって何十年も前から変わらず大きなくくり方って、

今はとっくに平成だよーーーーー!

21世紀だよーーーーー!

年齢や立場や職業でくくること自体がナンセンス。現場はとっくにそうなってるのに展示会に行ってアパレルメーカーさんと話すと話がボケるのはこれが原因だったのかもと思った次第です。

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ミセスゾーンのお客様やキャリア層のお客様って誰の事?

売り場の現場では、ミセスゾーンのお客様も、キャリア層のお客様も、そんな漠然とした人は一人としていないんです。

ちゃんと近藤さんと言う名前があって、平日はフルタイムで働き、週2回プールで泳いで、編み物好きで週末は必ずお店によってくださる。カジュアルだけどシンプルで上質な洋服がお好きでプリント物は嫌い。あ、あくまで近藤さんは仮名ですが実在のお客様です。

こんな風にお客様それぞれ一人ひとり別人格、それぞれに好みやキャラクターがあるわけです。

そしてそんな顔の分かるお客様に支えてもらってるのがボクたち専門店。

決してミセスゾーンのお客様やキャリア層のお客様と言った顔の見えない人じゃないんです。

ボクたち服屋はそういった一人ひとりの個性が少しでも輝くお手伝いをするだけなんです。

だから、どのブランドのどんな商品でもお客様の顔の浮かばないものは発注できない。

やっぱりまず目の前の近藤さん(仮名)に喜んでもらえる仕入をしなきゃねと、久しぶりの展示会の現場で思ったことはそんな事でした。

ではまた。


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沖 啓太郎

1966年大阪市生まれ。 大阪市住之江区の加賀屋商店街にあるクレアトールオキの三代目。 アパレルメーカーと小売業と商店街の経験と情報を駆使しながらファッションを通じて心豊かなライフスタイルを提案できる店づくり心がけています。

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