毛皮って残酷なの?文化なの?

毛皮って残酷なもの?

もう数年前になりますがCHANELやFENDIのデザイナーであるカールラガーフェルドはこう発言したそうです。

「自分がどれだけ裕福かを見せつけるために毛皮を買うのはやめて欲しいんだ。安物のニット製品みたいにね。ただのでっかい石ころを買うように。大きな石ころをもらえた君はラッキーかもしれないけど、その石ころを購入することで財政事情に問題が起きるようなら、その石を買うことはあきらめたほうがいいよ。」

解釈が難しいんですが、見栄やプライドで毛皮を買うのはやめてね!ってところでしょうか。

「だからファーを着ることに反対している人には『狩猟生活をしている人に支援できるだけ、きみは裕福なのかい? もし狩猟以外にすることがなくなった人に対しては、どうするつもりなんだよ』っていつも言っているんだ」

「動物を残忍なやり方で殺す人間は嫌いだけど、人間に対しても同じような仕打ちをする人間も嫌いだね。いまの世界じゃとても頻繁に起こっていることだけど」

こちらは、過激な毛皮反対派が毛皮で仕事してる人を殺している!とチクリ。

 

ファッション業界は今、毛皮を獲らない・使わない方向です。海外コレクションでもフェイクファーしか使わないデザイナーさんが増えています。毛皮を着てるというだけで大バッシングされるハリウッドスターがたくさんいました。毛皮反対運動家の活動はとってもハゲシク、その反対派の理由は多々ありますが集約すれば「残酷でかわいそう」というのが原点。ネット上に動物たちのショッキングな画像がたくさん拡散されているのを見ると、正直そう思うのも仕方ないとは思います。

そりゃこのSNS時代、芸能人は着れなくなりますね。

でもですね、ひとつの事例でその業種や業界を計るのは危険だと思いませんか?

「かわいそう」を言い出したら毛皮・革だけでなく食肉や卵はそうじゃないの?

って思います。

非難されるべきは乱獲や違法捕獲や動物虐待とかの「違法性」であって、その仕事で過去何世代も生計を立てて生活して人たちが急に責められることに違和感を感じます。和歌山県太地町のイルカ漁の報道の時も同じこと感じました。

「ありがとう」「いただきます」が大事なんだと思う

話がそれました、日本では本革や本物の毛皮の人気が相変わらず高いです。

ボク自身も感覚的に合成皮革より本物の革が好きですし、なぜそう思うのか自分なりに考えてみました。

日本には「いただきます」という言葉があります。外国語にはこの「いただきます」に該当する言葉は無いそうです。食事を食べる時、お米や野菜を作ってくれた農家の方、魚を獲ってくれたくれた漁師の方に感謝するのと同じく、自分の命を与えてくれる牛や豚や魚や植物に感謝する意味があるそうです。

つまり命を大事に頂くから「いただきます」やでって、ボクは亡くなったばあちゃんから教えられました。

着るものも同じ感覚だと思うのです。

使い捨てよりもいいモノを大事に長く使う文化。

いわゆる「モッタイナイ」文化が日本人のDNAに刷り込まれてるんじゃないでしょうか?

賛否両論あるかと思いますが、ボクは食べるものも着るものも今あるものに感謝して食べたり大事に着る人でありたいと思ってます。

アレ?今日はいつになく何か堅いお話になってしまいました(笑)

何でこんな話になったかというとですね・・・

Rozen Collection2016秋冬の受注会

6/6(月)までRozen Collection2016という秋冬の受注会を行ってるからなのです。

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ROZENさんというのは広島にあるレザー・ファー専門のアパレルさんです。いわゆる毛皮屋さんからスタートされてます。

ウチの担当をしてくれてるのはO田さん、もう15年以上のお付き合いです。

それこそCHANELやFENDIと同じレベルの素材を調達し、毎年新デザインを起こし国内で生産する。実はアパレル業界の中でもファーやレザーの世界は同型を使いまわす所が多い中、毎シーズン新デザインのみで提案するのはトップブランド以外ではあまりないんです。

注文分しか作らない、いや作れない。原料素材を無駄いにしない為にも、分かる人だけにお伝えするスタンスはローゼンさんもウチも同じです。

手間と暇のかかる受注発注のシステムだけど逆に無駄が無い分今の時代に合ってるのかもしれないと思います。

最近の毛皮事情についてO田さんと会場の準備をしながらそんな事を話してました。

リアルファーの議論が正しいかどうかは結局ボクは判断できませんが、本物に触れ、いいモノを知るからこそモノを大事にしよう!って思うのですがどないでしょう?

ではまた。


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沖 啓太郎

1966年大阪市生まれ。 大阪市住之江区の加賀屋商店街にあるクレアトールオキの三代目。 アパレルメーカーと小売業と商店街の経験と情報を駆使しながらファッションを通じて心豊かなライフスタイルを提案できる店づくり心がけています。

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