ユニクロのセーターはお直しできますか?

大阪市住之江区の加賀屋商店街で服屋してます、クレアトール オキ三代目の沖啓太郎です。

先日、来店されたことのないお客様からこんなお問い合わせの電話がかかってきました。

「ユニクロのセーターの袖口が傷んだのでお直しできますか?」と。

「お直し」も服屋さんのお仕事です

さて、「お直し」って洋服屋の仕事の一つですが「お直し」と一口に言っても種類があって、服屋さんが扱うお直しはだいたい次の3種類くらいと言っていいと思います。

1.リフォーム<reform>(サイズ調整のお直し)
一番良くあるパンツの裾丈の直しやジャケットやシャツの袖丈、着丈の長い短いなどをサイズ調整する直しのこと

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2.リペア<repair> (劣化したり、破損した箇所の修理)
洋服の破れ、ひっかけ、擦り切れ等で痛んだ箇所、ファスナーやホックの不良や破損などなどの修理

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擦り切れ、穴あき、破れ、虫喰い・・・素材の優劣にかかわらず起こります

3.リメイク<remake> (デザインを変更して作り直す)
ジャケットをベストにとか、ロングコートをハーフ丈にとか文字通りデザインを違う商品に作り変えること
長いパンツを短パンにするのはリフォームなのかリメイクなのか?悩ましいですね〜(笑)

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一言でざっくり説明するとそんなところです。今回のご要望は2番目のリペアですね。

あ、だから違いがどうと言ったところで、覚えてもあんまり人生の役には立たないと思います、あしからずです(笑)

で、話を戻します・・・

初めて電話をいただいたお客様でウチのお店はWeb上で知ったらしい。

ユニクロのセーターの袖口が擦り切れたと言う説明だったので、破れたか、切れたか、擦り切れたか・・・現物を見ていないのであくまで想像でしかないのですが、ウチに電話がかかってきたということはユニクロで断られたからと想像できます。

その前にユニクロってお直し受け付けてるのかな?返品とかクレームは受け付けてもサイズ直し以外の修理ってあったかどうか定かではありません。

で、本題に戻ります。そのご依頼に対しては結論から言うとお断りさせてもらいました。

原則、当店でお買い求め以外のお直しはお断りしてます

なんか偉そうですいません、「できない」んじゃなくて敢えて「しない」です。でもこれには理由があるんです。

1、自社取り扱い商品以外は最終責任が取れない

お直しはプロの職人さんを抱えるお直し専業の業者さんに委託してます。本当に高い技術を持たれてて「へ〜、こんな事もできるんや!」という事も多々あります。

ですので技術的なことでいうとほとんどのお直しの事は解決できるといってもいいくらいです。
(あ、もちろん3サイズ以上とかの極端なサイズ変更や無茶なデザイン変更はだめですよ!)
でもそれは原則自社の取り扱い商品に限らせてもらってます。難しいお直し内容であってもアパレルメーカーに問い合わせや相談もできるからなんです。

あってはならないことですが、職人さんも人間です、お直しの失敗がある可能性もゼロではありません。そんな時、自社の取引メーカーでなければ商品の再調達や残布(余り生地のこと)や糸の手配ができないですからね。

プロとして最終責任を持つ仕事をするためにも他店でお買い上げの商品のお直しは原則お断りさせていただいています。

2、お直しにもコスパはあると思う

そしてもう1点はコストパフォーマンスの問題。小売店で受けるお直しは基本有料です。(商品自体の問題の場合は別ですよ)

例えばあなたは5000円の商品に3000円のお直し代かけますか?

ボクなら絶対かけないとは言いきれませんが・・・ヤッパリそこまでかけないかな?と思います。

最近のファストファッションの洋服の安さはご存知の通りです。ユニクロ・GAP・ZARAなどなど・・・あの価格であのクオリティは中小・零細アパレルはとても真似できない。

片やお直しは手間賃仕事、人の手がかかる以上今の時代ではけっこう割高に感じるかもしれません。ユニクロのセーターならカシミヤで8000円程度でしょうか?メリノウールだったら2〜4000円で買えます。

そりゃどうしても直せと言われれば直しますが、コスパはとっても悪いですよね。

あくまでボクの基準ですがお直し代金はせいぜい商品価格の10%〜20%程度かなと考えます。

 

結論から言うと、

ユニクロの商品は傷んだら捨てよう!

今回は初めて電話でお話しする方だったので、そこまで言えなかったのがなんだか心残りでブログにしてみた、ということです(笑)

 

とは言え、それでもお受けする場合もあります

それはお客様との関係性ができてる場合なんです。

他店で無理と言われたものであっても、ご要望があれば極力対処いたします。100%直せなくても70〜80%なら直せる場合もあるんです。でもそれは、お直しできる範囲とリスクを説明して理解してもらえる関係性があればこそかなと思います。

コスパ関係なく、思い出の詰まった洋服だったり、どうしても直したいものってありますよね。

めっちゃ矛盾してますが、そんな際はご相談くださいね。

そんな洋服に対する愛情にお応えできる店でありたいと思います。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ではまた。


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沖 啓太郎

1966年大阪市生まれ。 大阪市住之江区の加賀屋商店街にあるクレアトールオキの三代目。 アパレルメーカーと小売業と商店街の経験と情報を駆使しながらファッションを通じて心豊かなライフスタイルを提案できる店づくり心がけています。

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