ユニク○の低価格カシミヤとウチのカシミヤは何が違うのか?
11月になった途端に急に寒くなってきました。ごついコートを着るまでではなくても、1枚余分に着る時に何を着るか悩みますよね?売場でも寒くなると急にニットをお求めになるお客様が増えます、やっぱり体感は正直です。
さて今日は冬のニットのなかでもカシミヤについてのお話です。
軽くて、暖かくて、ぬめり感のある優しい手触り・・・
かつては「カシミヤ」といえば高級ニットの代名詞、ニットの宝石と呼ばれた時代もありましたが、某ユ○クロさんが格安で展開して以来、本当に高級素材なん?という疑問もチラホラ聞こえるので、自分の復習も兼ねて調べてみました。
「なんで高いの?」って聞かれた時にドギマギしないために書いてるのはナイショです。
そもそもカシミヤって・・・
インド北部のカシミール地方を原産とし、中国奥地(内モンゴル)、モンゴル、イランなどの山岳地帯に生息するカシミヤヤギから採取した毛のことを言います。中国がもっとも原毛の産出量が多いのです。
カシミヤヤギは羊と同じく群生し、高地の厳しい地形に適応できるよう活発で俊敏な性質を持ちます。そして高地の厳しい寒さや乾燥した気候にも耐えるのです。
そのためカシミヤヤギの全身は剛毛(刺毛)で覆われますが、その下に非常に細かくて柔らかいうぶ毛(綿毛)が密集してるのです。
この柔らかいうぶ毛を我々はカシミヤと呼んでいるのです。
(出典:日本カシミヤ協会HPより一部抜粋)
カシミヤは羊ではなくヤギです
普通のウールは羊です、日本語で羊毛って言いますもんね!
まず動物が違います。
次に毛の梳き方が羊毛と違い剛毛の下の産毛を櫛ですきとるため、原毛の採取量が羊毛とは桁違いに少ないんですよ。
羊毛の場合は「羊の毛刈り」って見た事ありませんか?こんなやつ
で、カシミヤは羊と違い
羊:毛を刈り取る ⇔ カシミヤ:毛をすく
という違いがあり、カシミヤの場合はかなり手間がかかります。
1頭から取れる原毛比較をすると
カシミヤ150~200gに対し羊毛4kg(しかも年間2回取れるので計8kg)だとか。
そりゃカシミヤ貴重品ですわ!
産地のグレード
そもそもカシミヤヤギはインド北部のカシミール地方に生息していたことからのネーミングなんです。
現在の産地は
中国(内モンゴル)
モンゴル
イラン
アフガニスタン
ロシア など
グレードは上から高い順と言われています。。内モンゴルのカシミヤが一番細くて(12~14ミクロン)上質です。
ちなみに人間の髪の毛は50~100ミクロンらしいのでカシミヤっていかに繊細かですよね~!
あまり寒すぎるところのカシミヤは原毛が太くなりすぎるので、そこそこの寒さに生息するカシミヤが上質だそうです。そこそこの寒さってってどの程度やねん?という質問はお受けいたしません(笑)
色のグレードは上質な順に
1.ホワイトカシミヤ
2.グレーカシミヤ
3.ライトブラウンカシミヤ
4.ブラウンカシミヤとなります。
どんな色にも染める事ができ、発色のよさを発揮できるホワイトカシミヤが最上級のグレードと言われます。
原料のランク
繊維長(繊維の長さ)・・・長い方がよい
繊度(繊維の直径/細さ)・・・細い方がよい
異物混入率・・・少ない方がよい(当たり前!)の3軸で判断します
ニッターさんの技術力
国内メーカーを使うのか、海外メーカーを使うのか?
技術力の差は工賃の差、技術力の高い工場さんを使うのかコストを優先するのか?
いい素材は高い技術で作りたくなるのが作り手の本能、悩ましい問題です。
結局、カシミヤの価値は?
産地グレード × 色グレード × 原料ランク×工場さんの技術力
のそれぞれの掛け算じゃないかと思います。
大まかに4つの要素をお話しましたが、これ以外にも染色技術やロット(量)の要素が加わりいろいろな価格のカシミヤが出てくるわけです。ユニク○さんの圧倒的な量でコストダウンを図るのを見ると小ロットビジネスのボクたちはゾッとしますが(笑)
高グレード×高い技術=高価格
低グレード×コスト重視の技術=戦略的プライス
になるのは何もカシミヤに限った話じゃないですよね。
どんなものにも高い価格にはそれなりの理由があります。
逆に価格を落とすとなると、原料か技術もしくは両方とも落とさなければ低価格は実現しませんね。ダウンと違い、直接手に触れることのできるカシミヤはニットにしろコートにしろ手触りが全然違います!
機会があれば是非グレードの高いカシミヤにたくさん触れてみてくださいね。
とろけます!いや、ウソです。とろけませんが、それくらいのヌメリ感があるということです。
たぶん価格の違いは納得して頂ける・・・かもしれないし、そうでないかもしれませんが(笑)
そんな感じです。
ではでは今日も上機嫌でいきましょう!
沖 啓太郎
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