Lサイズというのは9号サイズをただ大きくしただけではないのです!

前職のアパレル時代の先輩のN羽さんから電話がありました。

N羽さん「展示会今日までなんやけど・・・・」

ボク「はい、今から向かいまーす!」

午前中、山積みの仕事を終えて大阪の心斎橋へ向かいました。

あ、ボクの前職の会社は結構体育会系だったので先輩からの指示には「ハイ!」か「Yes!」しかないって教えられたって話はどーでもよかったですね。

さて、N羽さんが携わってるのはodd(オッド)さんというカジュアルなニットやカットソーが得意なLサイズ特化のブランドです。

Lサイズのブランドについて

Lサイズ特化のブランドってアパレル業界の中でも少数派です。

何故って?世の中の既製服はだいたい平均値のサイズS・M・Lとか7号・9号・11号で作られてるイメージじゃないでしょうか?

単純に大・中・小みたいな。ほとんどのアパレルメーカーさんはJIS規格のA体もしくはAB体と呼ばれる日本人女性の平均値サイズの数字を参考に企画するわけです。

ところがですね、残念な事に結構な確率で年代的に40代、50代以上になると贅肉がついてくるのは真理です。摂取カロリーが代謝量を上回ってしまうんですよね~。

二の腕、背中、おなか周り・・・年齢とともに油断するとあっという間に要らないものがついてきます。

もちろん頑張って体型を維持して洋服をオシャレに着こなすのがベスト!

って、それができれば苦労はしませんよね~。

そこでLサイズブランドの活躍の場があるわけです。

Lサイズの洋服は正直、商品だけ見ててもあんまり可愛くないです。

雑誌に載るようなモデルさんの着る洋服に比べると見た目のバランスは確かに良くない。でも実際に着てみると体に沿ってくれる。

そこには、Lサイズって特別な事情があるのをご存知でしょうか?

何が特別かというと・・・

Lサイズの特別な事情

特にB体と呼ばれるふくよかなパターン(型紙)は、レギュラーサイズとは別にパターンを引くので同じデザインの13号サイズであってもA体とB体では全く別物になるんです。
また別にパターンを起こすのでコストも別にかかります。
ざっくり言うと、
既製服にはマスターと呼ばれる原型になる型紙があり、マスターを元にグレーディングといって、マスター(小)、マスター(大)の様にサイズ展開をしていきます。
つまり、マスターの元になる体型が「誰にために発信しているか?」で変わります。例えば同じデザインを気に入った二人がいるとします。
ひとりは「ローラ」体型
もう一人は「柳原可奈子」体型 (あくまでイメージです)
デザインは同じものが好きであっても、この二人はグレーディング(サイズ展開)では解決しません。
つまり、ローラ体型のパターン(大)は柳原さんには合わないし、逆に柳原さんのパターン(小)はローラさんには合わないのです。
(サイズが入る・入らないの問題ではないです、念のため)
つまりその洋服のマスターパターンがどんな体型の人をイメージして発信してるかにかかってくるということですね。

地域の洋服屋さんというのはある意味「問題解決業」でもあると思うんです。

着たいけれど着れない・・・

あと数センチ背幅が足りない・・・

あともうチョットアームホール大きかったらいいのに・・・

あともうちょっと・・・

という台詞を何度聞いてることでしょう。

かわいい、かっこいいファッションを着たいのにもうチョットが・・・というその「もうちょっと」を解決したくてLサイズのアパレルメーカーさんは頑張っておられるわけです。

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厳しい状況のアパレル業界ですが、やっぱり信頼できるのはぶれない人なんだと思うんです。あくまでLサイズにこだわるN羽さんとお話してて思ったのはそんな事です。

でも、電話がかかってくるまで展示会の事すっかり忘れてたのはナイショです。

ではまた。


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沖 啓太郎

1966年大阪市生まれ。 大阪市住之江区の加賀屋商店街にあるクレアトールオキの三代目。 アパレルメーカーと小売業と商店街の経験と情報を駆使しながらファッションを通じて心豊かなライフスタイルを提案できる店づくり心がけています。

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